一般的に精神科の専門医が問診して「うつの状態」を把握し、診断基準に照らし合わせて病的な状態かどうかを判断していきます。うつ病は気分障害といわれる精神疾患の一種で、憂うつが日常生活や社会生活に支障をきたすほどの状態になるものです。うつ病のなかには精神症状が目立たずに身体症状が前面に現れるものもあります。(当院ではさまざまな身体症状がある方についてはいったん専門医療機関などで検査をお勧めし、検査結果をふまえてご相談に対応しています。)

まず、うつ病の診断では
 ①いつから症状が始まったか
 ②どのような症状があるか
 ③症状が現れたきっかけと思うことがあるか
 ④日常生活や社会生活にどのような支障がでているか
をお聞きします。

また、既往歴や生育歴、性格なども診断する情報として大切です。それらは医師がより正確なに診断を行うのに大いに役立ち、またご本人やご家族が協力的な姿勢をもたれることは治療自体がよりよい方向に向かいます。さて、うつ病の診断基準として、主なものは2つあります。WHO(世界保健機関)の国際疾病分類である「ICD-10」と、米国精神医学会の「DSM-IV」です。いずれも、うつ病にみられる症状を記述した診断項目を多数あげて当てはまる項目がいくつあるかをたずねています。これらの診断基準を満たしていれば、うつ病の診断が行われます。しかし、病態が複雑化する昨今は専門家である精神科医でも時に診断に苦慮するケースもあり、補助的に評価スケールが用いられます。よく活用されるものとしてHAM-D(ハミルトンうつ病評価尺度)などがあります。これらの評価スケールでは、うつ状態を自己診断として把握できるものもありますが、 だからといってうつ病であると断定できるわけではありません。最近では光トポグラフィー検査を用いて脳活動状態の変化を把握し確定診断の補助として活用する場合もあります。いずれにしろ、最終的には医師の総合的な判断によって診断がなされることになります。