私は精神病院勤務の時には職員だけではなく患者さんも仲間だと思っていました。それは老人保健施設に移ってからも同じです。重度の認知症高齢者の方からも多くの人生の教訓をいただきました。座右の銘になっているものもあります。やはり尊敬すべき人生の大先輩なのです。それでも一緒に暮らしているといえるのでしょうか?もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。

野芥小学校のPTA会長となり校長室を訪れると「野芥っ子(野芥小学校児童)は保護者と学校と地域で育てていきます。」といった趣旨が大きく書かれてありました。前任の校長先生時代にはすでに書かれていたそうです。 どこの地域でもそうでしょうが朝のあいさつ通り(交通安全の旗持ち)、青色パトロール、九九検定、字引検定などなど全部並べると紙面が埋まるくらい地域は野芥っ子たちを守り育んでいます。

先日、ある横断歩道が危ないという校長先生の発言があり早速交通担当の町内会長に知らせて情報交換していただきました。次の日から会長自ら現地で交通整理を始められ、現在では関係町内が協力して他の場所の交通整理も行って野芥っ子を守っています。このような話もまた書き出すと本になりそうです。

私もその一員ですが別によその子の養育費を払っているわけでも私の家で生活させているわけでもありません。ですが私も地域の一員として野芥っ子を育てていると胸を張っております。

からざステーションに入所の認知症高齢者は時折外出します。公民館主催の文化祭や有志で取り組む門松づくりなどに出向くと大変温かく迎えていただきます。からざステーションの夏祭りや法人全体の参加型文化祭「みんみん祭」にもちびっ子たちから高齢者までたくさんの方がおいでになります。有志の折り紙ボランティア、町内会老人会や幼稚園のボランティアなどなど。地域の方たちが喫茶店でお茶を飲んだりロビーで旅行の打ち合わせをしたりもされたくさんの方に訪れていただきます。施設に入所していても地域の一員なのです。

野芥校区には介護している方の家族会(自由参加)や一人暮らしの高齢者の食事会、三世代グランドゴルフ大会など多くの事業も行っています。 施設にいても自宅にいても野芥校区にお住いの認知症高齢者はしっかり地域で暮らしているのではないでしょうか?地域の力をさらに高めればもっともっとその実感が得られ、認知症高齢者やそのご家族も地域に住む喜びを感じられると思います。