大変お待たせいたしました。第1位は認知症です。これは説明がなかなか厄介です。認知症は「ぼけ」と違って脳の病気なのですが、実は厳密にいうと認知症という病名はないのです。認知症というのは状態を表すものです。では何が認知症かということを説明しようとするとおそらく難解な文章がだらだらと続きます。もしくは聞いたことのない専門用語を並べるかです。そこを何とか頑張ってみましょう。

まずは例えです。腹痛というのがあります。これも状態であって病名ではありません。有名なところでいうと胃炎、胃潰瘍、食中毒などでしょうか?たくさんの病気の症状として腹痛が起こります。それぞれの病気で細かい症状や対応は違いますがどの病気でも腹痛はよく起きます。

認知症も同じで実はたくさんの病気の集まりで、病気が違えば細かい症状や対応も変わってきます。代表的なものをいくつか挙げるとアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症でしょうか?私が看護学科の学生の頃は代表的なものはこの二つを覚えればよかったのですが今はどんどん増えています。レビー小体型認知症などはご存知の方も多いと思います。(昔から認知症を引き起こす病気が非常にたくさんあることは知られていました。)治療すれば比較的短時間で完全に治る認知症もあります。

しまった!!気がつけば「ゆっくり」「突然」のテーマからそれて病気の説明になっていますね。あきらめてもう少し続けます。アルツハイマー型認知症では脳の中に化学物質が徐々に徐々にたまっていってこれが少しずつ悪さをして徐々に症状が進むといわれています。発症までに数十年かかるという話もあります。

脳血管性認知症の場合も実は「ゆっくり」が結構多いのです。この病気は脳血管障害(脳卒中)が原因です。脳血管障害は前回「突然」と書きました。トラブルが大きいと「突然」なのですが小さなトラブルを何度も繰り返すことがありこの場合は「ゆっくり」です。

いずれもポイントは「ゆっくり」進むものをいつ気がつくか?です。ゆっくりしか進まないですし「ぼけ」との区別も難しく専門家を訪ねるのが大変に遅くなることが多いのです。専門家に話を聞いてもらうと「そういえば」「そんなことがあった」と随分以前に変化に気がついていたということが良くあります。残念ながらその重要性に気が付かず対応が遅れてしまう。これもまた大変多いのです。早期発見、早期介入が非常に重要ですね。

予防ができるかどうか?これは認知症の種類によって若干異なるので今回はやめておきます。ただし、朝起きて昼動いて夜寝る。人と良く話す。健全な食事を食べる。軽く体を動かす。などいわゆる健康のために誰でもが考えつくようなことはどれも認知症の予防や進行防止に大変に役に立つといわれています。

ここまで原因の1位、2位、3位について話してきましたが、どれも全く歯が立たないということはないようです。