~先人?~

前回ブログからずいぶん時間が空いてしまいました。今回はからざステーションの初代施設長・2代施設長に教えていただいた話です。

先人の言葉と書いて間違えていないか調べてみました。デジタル大辞泉によれば 昔の人。前人。古人。だそうです。使い方を間違えたかもしれません。

~人間諦めが肝心~

「人生諦めが肝心」が正しいようですが、私は人間諦めが肝心で覚えてしまいました。その方が私の中ではしっくりきます。すっかり座右の銘になっています。何より人生を諦めたくはありません。

初代施設長は折に触れこの言葉を使われましたが、最初耳にしたときには非常に違和感がありました。「諦めてはいけない。」、「諦めずに努力すべきだ。」と思いました。

ある時に次のように付け加えられました。「どうにもならないことを諦めないからどうにもならない。諦めてしまえば道はいくらでもある。」目から鱗とはこのことでした。これしかないと決めてしまっているからほかの方法が見つからないのだ。またこの人はこんな人と決めつけてしまうからほかの見方ができなくなるのだ。

このことがあってから物事がうまくいかない時、他人が許せない時、無意味なこだわりではないのか?こだわりを捨てさえすればほかに良い方法がいくらでもあるのではないか?私が嫌いなだけでこの人の良いところがいっぱいあるのではないか?と自問自答するようになりました。

~危ないからやめるのではない。危なくないようにやるのだ。知恵を出しなさい。~

これも初代施設長のお言葉です。からざステーションが開設して間もなく花火をしました。高齢者の方は大変に喜ばれました。人が危ないようなことはなかったのですが、いすを焦がしてしまいました。そこに人がいれば火傷していたのです。私はもう二度と花火はできないとあきらめていました。ところが施設長は担当者を責めることは一切ありません。知恵を出しなさい。と笑顔で勇気づけていただきました。

今振り返るとこの話はあきらめてはいけない話だったように思います。翌年もその翌年も同じように花火で喜んでいただけました。

~四苦八苦~

二代施設長は医師と和尚、2足の草鞋でした。ある時勉強会で四苦八苦の話をされました。四苦、生老病死の話はよく聞きますが、八苦の話はあまり聞きません。四苦とあと4つ合わせて八苦だそうです。

その後、自分でも調べなおしてみました。ウィキペディアですと 愛別離苦(あいべつりく)愛する者と別離すること、怨憎会苦(おんぞうえく) 怨み憎んでいる者に会うこと、求不得苦(ぐふとくく)求める物が得られないこと五蘊盛苦(ごうんじょうく)五蘊(人間の肉体と精神)が思うがままにならないこと。とあります。

二代施設長は五蘊盛苦(ごおんじょうく)いろいろな苦しみが燃え盛っている様子。と教えてくださいました。

~介護の仕事は大変か?~

人間は生きているだけで大変な苦しみがあるものだと驚きます。介護の仕事にかかわっていると人様の喜怒哀楽や四苦八苦にお付き合いさせていただくことが多くあります。人間の暮らしですから良いことばかりでないことはしっかりわかっているつもりです。それでも少しでも怒・哀・苦は少なく、喜・楽は多くあってほしいと思うものです。

人様の人生にお付き合いさせていただくことは大変な人生勉強になります。このことは私の人生の宝物だと考えています。私の幸せのもとのようなものです。

「介護の仕事は大変でしょう?」とよく聞かれます。私は時々いたずらっぽく笑い「そうなんです。とても大変なんです。楽して儲かる仕事を教えてください」と返します。

重度の認知症といわれる方とこのやり取りをしたことがあります。「あんたいくつね?」と聞かれました。「50です。」と答えると首を振られ「まだまだ。あんた楽することやら考えたら手が後ろに回るよ。若いんだからもっともっと苦労なさい。」と肩をたたかれました。さすが人生の大先輩ですね。