アレルギーにはさまざまな種類があり、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症そして食物アレルギーなどがあります。アレルギー疾患は生活環境での様々な要因で発症、重症化するためにアレルギー疾患対策を様々な方向から推進していく必要があります。このような背景から2014年6月27日にアレルギー疾患対策基本法が公布され、2015年12月25日から施行されました。この法律によってアレルギー対策の目的を明らかにし、国民の理解と協力、行政からのサポートが得られやすくなりました。その後2017年3月に「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」が公示され、国や行政だけでなく会社や保育所などでも厚生労働省が定める指針に基づいて対応することが義務付けられています。
私たち管理栄養士に大きく関係する食物アレルギーとは、特定の食物を摂取することにより免疫システムが過敏に働き、皮膚症状や呼吸器症状などを引き起こす現象で、原因物質は食物に含まれるたんぱく質です。重篤な場合には生命の危険にもつながります。入院患者さんの中には食物アレルギーを持った方も少なくありません。アレルギー患者の把握や原因 物質の除去は集団給食において最重要項目になります。
また、2018年には日本栄養士会の認定資格に「食物アレルギー栄養士・管理栄養士」の認定制度もスタートし、さらには2021年11月11日に開催された第16回アレルギー疾患対策推進協議会の資料の中に、アレルギー疾患医療を提供する体制の確保に関する事項として、専門的な取り組みをより推進するため、医療従事者として「歯科医師」と「管理栄養士」が明記されました。管理栄養士の役割も明確になり、より専門的な知識の習得が重要になると感じます。
以上のことから、今後も安全で適切な食事提供のための知識をもち、栄養管理と食支援を通して患者さんの生活の質の向上へ貢献していきたいと思います。

 

[ご参考]
アレルギー疾患対策基本法
アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針(案)