レビー小体型認知症とは

認知症はもの忘れに始まり時間・場所が把握できなくなり、徐々に自立した生活ができなくなる病気で、その種類は多岐にわたります。代表的なものはアルツハイマー型認知症ですが、レビー小体型認知症は、アルツハイマー型、血管性認知症に次いで多い認知症です。厚生労働省研究班の疫学調査では全認知症のうち4.3%がレビー小体型認知症という報告もありました。主に65歳以上の高齢者に多くみられますが、30〜50歳代で発症する場合もあります。また、レビー小体型認知症は男性に多い傾向があります。
主な原因は脳の神経細胞のαシヌクレインというたんぱく質を核としたレビー小体という物質が、大脳皮質に溜まることで神経細胞が失われて認知症の症状が現れるといわれています。しかし、なぜレビー小体という物質が脳に出現するのかはわかっておらず、現時点では脳の年齢的な変化と考えられています。レビー小体は運動機能をつかさどる脳幹にも溜まりやすく、神経伝達物質であるドパミンが減少するため、手の震えなどのパーキンソン症状を伴うことが多くみられます。
一般的に認知症の場合は記憶力や理解力などの認知機能が徐々に低下していきますが、レビー小体型認知症は認知機能が良いときと悪いときが波のように変化する傾向があります。初期段階ではしっかりしているときもあるため「病気」と思われないことも多く、認知機能の低下が目立たない場合もあります。

レビー小体型認知症の症状

レビー小体認知症には以下のような特徴的な症状があります。

  • 認知機能の変動
    日にちや時間、場所といった状況が把握できなかったり、会話が理解できなかったりします。調子がいいときには通常通りの会話が成立しますが、頭の機能が鈍くなると集中力や注意力が低下することになります。認知機能の変動とは、このように症状に良い時と悪い時のムラがあることを指します。
  • 繰り返される幻視
    発症初期から「知らない人がいる」「虫が這っている」「子どもが枕元に座っている」など、実際には見えないものが生々しく見える幻視や、「(人形が)女の子にみえる」「(ふとんや洋服が)ひとや動物にみえる」など、別のものと見間違える錯視もよくみられる症状です。これらの視覚性の認知障害は特に夜間に現れやすいのが特徴です。
  • パーキンソン症状
    パーキンソン症状とはパーキンソン病に似た運動の障害で、手がこわばって歩きにくくなる、手が震える、姿勢が前かがみになる、急に止まれないといった症状があります。そのため、レビー小体型認知症の方は転倒のリスクが高いと言えます。

その他に、便秘や尿失禁、異常な発汗、だるさ、立ちくらみなどの自律神経症状や、眠っている間に大声で叫んだり暴れたりする睡眠中の行動異常(レム睡眠行動障害)が表れることもあります。

初期の段階では認知機能は比較的保たれていますが、中期になるとパーキンソン症状が強くなり歩行が困難になってきます。同時に記憶や見当識(日にち・時間・場所の把握)の障害がみられるようになり、認知機能や意識レベルの変動も大きくなり悪い時間帯が増えてきます。さらに幻視や妄想にも悩まされます。後期では、日常生活に介助が必要になり、誤嚥性肺炎などのリスクが高まります。

レビー小体型認知症の診断と治療

検査では、まず脳のMRIが行われます。全般的な脳萎縮はありますが、アルツハイマー病認知症と比較するとあまり特徴的な変化はみられず、海馬の萎縮も軽度です。また脳の血流をみるSPECT検査では頭頂葉・側頭葉・後頭葉で血流低下を見受けられます。さらに自律神経障害も生じやすいので、MIBG心筋シンチグラフィ検査で心臓交感神経の働きが低下していることも確認されるようです。
レビー小体型認知症そのものを根本的に治す治療法は、現在のところ確立されていません。そのため、症状にあわせた対症療法が中心で、アルツハイマー型認知症と同様に薬物療法と非薬物療法を並行して行うことが基本になります。幻視や錯視を減らすために室内環境を整える(シンプルなレイアウト、室内の明るさを統一するなど)、回想法や音楽療法などで気持ちを安定させるなどの働きかけを行います。さらに最も注意が必要なのは転倒です。転倒を防ぐために、リハビリテーションや日常生活での散歩などで運動能力が衰えないようにすることが大切です。ご家族の負担が過重にならないように介護保険サービスなどを利用しながらサポートしましょう。