精神障害者への公的支援制度

精神障害者の方への公的支援制度として様々な制度がありますが、治療や生活を大きくサポートするものとして「精神障害者保健福祉手帳」と「自立支援医療(精神通院医療費の公費負担)」があります。

精神障害者保健福祉手帳制度におけるサポート

精神障害者保健福祉手帳制度は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するもので、手帳を持っている精神障害者の方々の自立と社会参加の促進を図るために様々な支援方法が策定されています。手帳をもつことで、各種の割引やサービスを受けることができます。

対象となる方

精神障害により、長期にわたり日常生活または社会生活への制約が生じている方が対象となります。具体的には以下のような疾患が含まれます。。入院・在宅による区別や、年齢制限はありません。

  • 統合失調症
  • うつ病、躁うつ病などの気分障害
  • てんかん
  • 高次脳機能障害
  • 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害など)
  • そのほかの精神疾患(ストレス関連障害など)

手帳を受けるためには、その精神障害による初診日から6か月以上経過していることが要件となります。また、精神障害者保健福祉手帳の等級は1級から3級まであり、手帳の有効期間は2年です。申請に基づき2年ごとに精神障がいの状態を再認定し、更新します。更新手続きは有効期限の3か月前から申請できます。
なお、知的障害があり、上記の精神障害がない方は、療育手帳制度があるため、精神障害者保健福祉手帳の対象とはなりません。

受けられるサービス

精神障害者保健福祉手帳を持っていると、福岡市では以下のようなサービスが受けられます。

  1. 税制上の優遇措置
    所得税、住民税、相続税などの障害者控除など
  2. 市営地下鉄・市営渡船の割引
  3. 市立施設等の利用料などの減額
    文化・芸術施設、スポーツ・レクリエーション施設、市営駐車場や駐輪場など手帳を提示すれば減額または無料で利用可。
  4. 市営住宅の入居
    1級・2級の手帳の方は公募抽選における優遇あり。既に入居している方は等級に応じて収入が一定額以下の場合、家賃の減免が受けられる場合あり。
  5. 後期高齢者医療制度への加入申請
    65歳〜74歳で精神障害者保健福祉手帳1・2級の方は後期高齢者医療制度に加入も可。
  6. 生活保護を受給している方の障害者加算の認定
    生活保護を受給している方の障害者加算の認定が可能な場合もあり。
  7. 福祉乗車券などの交付を受けることが可
    福祉乗車券(公共交通機関の助成)または福祉乗車証(地下鉄無料パス)のどちらかの交付を受けることが可能。
  8. 福岡市重度障がい者医療費助成を受けることも可
    精神障害者保健福祉手帳1級をお持ちの方は、重度障がい者医療費助成を受けることもできますが、精神科病床への入院にかかる医療費は、助成の対象とはなりません。申請により認定を受けた方には「障がい者医療証」が交付されます。
  9. NTT番号案内(104)が無料で利用可能
  10. NHK放送受信料の減免もしくは全額免除
  11. 西鉄バス・西鉄電車の割引

申請の仕方について

申請は居住されている各市町村の担当窓口に行く必要がありますが、家族が代理で行うこともできます。まずは、主治医や医療福祉相談室の精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)に相談されるとよいでしょう。
申請すると、各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターにおいて審査が行われ、認められると手帳が交付されます。

自立支援医療(精神科通院医療)におけるサポート

自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
精神疾患における自立支援医療は、精神科の病気で治療を受ける場合に外来通院・投薬・訪問看護などの必要な医療費の自己負担額を軽減する制度になります。一般的に公的医療保険で3割の医療費を負担しているところを、1割負担を原則としつつ、ご本人の所得や疾病状況、世帯の所得状況に応じて、月額負担上限額が認定されます。ただし、入院については対象とはなりません。

対象となる方

精神障害により、通院による治療の継続する必要がある方が対象となります。年齢制限はありません。

  • 統合失調症
  • うつ病、躁うつ病などの気分障害
  • PTSDなどのストレス関連障害やパニック障害などの不安障害
  • 知的障害、心理的発達の障害
  • アルツハイマー病型認知症、血管性認知症
  • てんかん など

医療費の軽減が受けられる医療の範囲

精神障害、および、その精神障害に起因して生じた病態に対して病院または診療所に入院しないで行われる医療(通院医療)です。症状がほとんど消失している患者であっても、軽快状態を維持し、再発を予防するために、なお通院治療を続ける必要がある場合も対象となります。具体的には、外来、外来での投薬、デイ・ケア、訪問看護等が含まれます)
ただし、入院医療の費用、公的医療保険が対象とならない治療や投薬などの費用、精神障害と関係のない疾患の医療費は対象外です。

医療費の自己負担

一般の方であれば公的医療保険で3割の医療費を負担しているところが1割に軽減されます。さらに、所得等によって負担の上限額が設定されています。

申請の仕方について

申請については、各市町村の担当窓口で行っていただくことになります。詳しくは、主治医やかかりつけ病院の受付、医療相談室の精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)におたずねください。
申請が認められると、「自立支援医療受給者証」が交付されます。
なお、公費負担の有効期間は1年です。申請に基づき1年ごとに精神障害の状態を再認定し更新します。更新手続きは有効期限の3か月前から申請できます。


参照