6月23日のWEB研修会のテーマは精神科救急急性期病棟におけるクリニカルパスについて3つの講演が行われました。
最初に油山病院の救急急性期病棟医長の川久保善宏医師より「クリニカルパスの導入を目指して」と題して、当院の現状について話がありました。そもそもクリニカルパスとは、医療の質向上と効率化を目的として導入されるものであり、メリットとしては多職種間で患者情報が共有できるという大きなメリットがある。デメリットとしては、精神科においてはバリアンスが多くなり担当者の負担が増すという点にある。しかし、病識・教育レベルの高く治療関係の良さを有するクラスターⅡの患者についてはLAIの使用も含めて良好に機能していくようだ。パスを意識したした結果、平均在院日数を約70日とすることができた。今後は、各職種の業務を統合して、また各職種のアウトカム評価の確立を行い当院の特徴に合ったクリニカルパスを作成していくことが肝要であるし、それらをもって病棟稼働率や在院日数の最適化を目指していきたいと語りました。
次に熊本県の弓削病院の救急急性期病棟看護師の川田原輝美氏より「救急病棟におけるLAIチェックシートの有効性の検討」と題して、看護師がチェックシートを用いて主治医へLAI治療の提案を行ったことの振り返りでした。
最後の演題は、宇治おうばく病院の古川暁子先生から「救急病棟におけるクリニカルパスの導入とその経過」でした。平成21年から平成24年の導入初期では何度も改善・改訂を繰り返すものの定着せず、さらに導入後の工夫を重ねたことなどをお話しいただきました。定着のためには、さらなる目的意識の強化、業務分担の調整、漏れの出ないシステムづくりが必要とのこと。本年4月からは「認知症パス」も開始され、精神科急性期病棟における認知症患者の3カ月以内の退院を目指しておられます。クリニカルパスは、精神科急性期病棟において必須であり、導入後も改善を重ね、それぞれの病院に合ったものを多職種で吟味していくことの重要性を語られました。パス作成のプロセスそのものが、多職種連携であり、チーム医療の実践であるという言葉で締めくくられました。