精神科の訪問看護と

今回は訪問看護ステーションあいりすに勤務する作業療法士から、当ステーションにおける精神科のリハビリテーションについてご説明させていただきます。
本題に入る前に、まずは精神科訪問看護について簡単にご説明をしておきます。
訪問看護は主治医の指示をもと、ご利用者様の健康管理、お薬の管理、心配事や不安に関する相談など、診療の補助を行うことが大きな役割であり、ご利用者が生活を送るご自宅に看護師や作業療法士が伺うというものです。

まず、自宅に人を迎える意味を考えましょう

いきなりですが、私はこの説明の中に、すでに大切なリハビリテーションが隠れていると思っています。 それは、自宅に第三者の人間が来るということです。
私も、休日は少し堕落した生活になることはあります。しかし、普段から散らかった部屋で過ごしていたり、部屋着のままで過ごしていたり、女性であれば鏡を見ることもなく、髪はボサボサのままで過ごしている方など、このような生活パターンとなっている方が皆さんの中にはいらっしゃらないでしょうか?
例えば、現在休職中でこれから社会復帰を考えている方がいたとします。普段の生活は、身なりは部屋着のままで、寝ぐせのついた髪と髭も伸びたまま、部屋の片付けもせず、食事は栄養バランスも偏った状態で、洗い物もため込んでいる。このような状況で、明日から職場復帰して出勤となった時に、万全の状態での復帰といえるでしょうか?
私は、社会復帰の手前には準備段階といえる状態があると考えています。
規則正しい生活リズム・バランスの良い食事・掃除・洗濯・身だしなみ・買い物など、自宅生活の中で身の回りのことが当たり前にできるようになっていれば、社会に出る準備段階として整っているといえるのではないでしょうか?
そこで私は、生活を整えていく練習に、訪問看護のご利用を検討してみるのはどうかと思っています。 最初は、訪問看護の当日にバタバタと慌てて片付けをしたり、身なりを整えたりと大変な思いをするかもしれません。しかし、訪問看護がなければ、いつまでもダラダラとした生活のままになる可能性もあると思います。
訪問看護を迎える準備をする=社会復帰のトレーニングということです。
そして、自宅に第三者の人間を迎え入れるということは、社会との接点にもなり、社会生活の第一歩として訪問看護を利用していただければ、身の回りを整えるきっかけになると思います。
また、普段の生活が整っていないということは、精神的にも不調を抱えている可能性がありますので、訪問看護の中でうまくいかない部分の相談をしていただき、一緒に解決に向けて進んでいけたらと思っています。

精神科訪問リハビリテーションの主な援助

次に、ここからは当ステーションにおける作業療法士を主体とした具体的なリハビリテーション内容についてご紹介したします。当ステーションでは、大きく4つの項目に分けてリハビリテーションを実施しています。

  1. 症状安定に向けての援助
  2. 日常生活への援助
  3. 対人関係への援助
  4. 社会復帰に向けた援助

お一人おひとりの心身の症状に合わせて、改善したいことや実現したいことをサポートしていきます。項目の詳しい内容については、この「精神科訪問看護でリハビリ」シリーズで折々お話していきたいと思います。

あなたらしい人生が送れるように

最後に、今回は当ステーションにおけるリハビリテーションについて、ご説明させていただきました。地域生活を送りながら、困りごとや心配なことを相談していただき、お一人お一人の目的やニーズに応じて、あなたらしい人生が送れるようにお手伝いできたら幸いです。

訪問看護ステーションあいりす
作業療法士 紙屋雄次朗

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