対象となる方

今回も実際の精神科訪問看護でのリハビリの内容をお伝えしていきたいと思います。テーマは「より良い生活のために、ステップアップをめざす方」です。
皆さんは、ご自身の将来に対して、どのように考えられていますか?
「今の生活に満足しているから、このまま維持したい」とお考えの方もいるかと思います。 ですが、今回は「(ステップアップのために)自己理解を深めたい」「働きたい」「復学したい」「趣味の時間を充実させたい」「体力をつけたい」「夢に向けて努力したい」など、今の自分よりもさらに成長したい、生活を充実させたいとお考えの方に向けて、当ステーションで行っている援助をご説明していきます。

社会復帰やステップアップに向けた具体的な援助

訪問看護では、さまざまな活動を通して、本人がやりたいこと、出来るようになりたいこと、求められていることなどを、その人らしく出来るようにし、健康的な日常生活を送れるように指導・援助・支援を行います。
ここからは、いくつか具体的な活動内容をご紹介します。

ステップアップに向けて、自己理解を深めたい方への援助

自己理解を深めることは、安定した体調をキープするために重要です。訪問看護では体調や気分を含めた生活の振り返りを一緒に行い、そのなかで、例えば「あまり眠れなかった翌日はイライラしやすい」「ストレスを溜め込むと、ネガティブに考えやすい」「誰かに相談することが苦手」「口頭での指示は苦手」「物音に過敏かもしれない」「環境の変化に弱い」など、自分の考え方の癖や物事が起きた時の反応などを理解し、その対策を一緒に考えていきます。

ステップアップに向けて、体力をつけたい方への援助

これからの自分の将来を考えていくうえで、目標は見つけられても体力面で自信がなく、なかなか最初の一歩が踏み出せない方も少なくありません。そのような方には、現在の活動量を確認し、ストレッチ・体操・散歩・筋トレ・スポーツなどを行うことで体力の向上をめざします。また、訪問看護以外の普段の日常生活でも、日中の臥床時間(ベッドや布団で横になっている)を減らし、家事・買物をしたり地域のコミュニティーに参加したりするなど、活動性を向上させる目標を立てて、自信の獲得を図ります。

自分に合った仕事がわからない方、
就労への挑戦や就労継続をめざしたい方、
趣味を充実させたい方への援助

自分に合った仕事・趣味が分からない方には、興味・関心がありそうなもの(パズル・プラモデル・イラスト・編み物・ゲーム・パソコン・楽器・運動など)や取り組みやすいものを選び、まずは一緒に取り組んでみます。そのなかで、楽しみの発見や得意・不得意を発見したり、それらをヒントに次の他の作業を検討したりもします。そうして、集中力向上・巧緻性向上・遂行能力向上・忍耐力向上などの目的も、本人と訪問看護スタッフが共有し、将来の仕事選びや余暇時間の充実を図っていきます。
また、就労・復学をめざしている方についても、不安がある部分やこれまでの困りごとを本人と訪問看護スタッフが共有し、一緒に対策や練習を行います。
さらに、就労・復学後も訪問看護をご利用いただければ、職場や学校での困りごと等を聞かせていただき、就労や就学の継続できるような対策を一緒に考えるなどのサポートが可能になります。

夢の実現に向けて努力したい方への援助

すでに自分の得意分野や好きなことが見つかっていて「将来の夢」をお持ちの方には、まず、そのことを詳しく聞かせていただきたいと思います。私たち訪問看護スタッフは、ご利用者様お一人お一人の個性を尊重し「その方にしかない、その方らしい生き方」を支えていきたいと考えています。
まずは夢の実現に向けてどのような課題があるのかを一緒に考え、クリアしている部分とそうでない部分を明確にし、上述のような援助を行っていきます。この他にも、これまでの支援内容として、演奏会に向けた楽器練習、風景写真の撮影同行、外食・買物同行、公共交通機関の練習などを行っており、夢の実現のために、安心して動き出せるように考慮しながら取り組むことで、地域生活を満喫していただければと思っています。

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