2005年7月に施行された「食育基本法」では、食育を「生きる上での基本であって、知育、徳育および体育の基礎となるべきもの」「様々な経験を通じて『食』に関する知識と『食』を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てること」と位置づけ、推進することを求めています。「食育基本法」では5年ごとに「食育推進基本計画」を作成しており、この度2021年度から2025年度までの「第4次食育推進基本計画」が決定されました。食育は子供だけでなく成人から高齢者まで生涯に渡って必要です。今回は少しだけ「第4次食育推進基本計画」について触れてみたいと思います。

日本の食を巡る環境は大きく変化してきており、様々な課題を抱えているという指摘がなされています。
食生活の面から見ると、高齢化が進行する中で、健康寿命の延伸や生活習慣病の予防が引き続き国民的課題であり、栄養バランスに配慮した食生活の重要性は増しています。また、古くから各地で育まれてきた地域の伝統的な食文化が失われていくことも危惧されています。
供給の面からみると、食料の多くを海外からの輸入に頼っている一方で食品ロスも多く発生しています。また、近年は日本各地で異常気象に伴う自然災害が頻発するなど、食のあり方を考えるうえで環境問題は避けられなくなっています。
国際的な面から見ると2015年9月に国連サミットで採択された17の目標と169のターゲットから成る「SDGs(持続可能な開発目標)」には食育と関係が深い目標があります。食育の推進は我が国の「SDGsアクションプラン2021」の中に位置づけられています。 さらに世界規模で拡大する新型コロナウイルス感染症の流行は農林水産業や食品産業にさまざまな影響を与えるとともに人々の生命や生活のみならず、行動・意識・価値観にまで波及しました。

こうした背景を踏まえ食育の推進として特に取り組むべき重点事項として以下の3つが示されました。

  1. 生涯を通じた心身の健康を支える食育の推進(国民の健康の視点)
    家庭、学校・保育所、職場、地域などの各場面において地域や関係団体の連携・協働を図りつつ、切れ目のない生涯を通じた食育を推進する
  2. 持続可能な食を支える食育の推進(社会・環境・文化の視点)
    食と環境の調和:環境の環(わ)、農林水産業や農山漁村を支える多様な主体とのつながりの深化:人の輪(わ)、日本の伝統的な和食文化の保護・継承:和食文化の和(わ) の3つの(わ)を支える食育を推進する
  3. 「新たな日常」やデジタル化に対応した食育の推進(横断的な視点)
    新型コロナウイルス感染拡大による人々の生活への影響は当面続くと考えられ、1、2を推進するためにはICT(情報通信技術)等を有効活用して効果的な情報発 信を行うことや、「新たな日常」の中では自宅で食事をすることも増えており、栄養バランス、食文化、食品ロスなどについての意識が高まるよう食育を推進する

食育は、人々が生涯にわたって健康で豊かに過ごせるための大切な取り組みです。ぜひ、家庭の中でも『食』について振り返ってみませんか?

参考資料
農林水産省:食育の推進