6月5日、当院は福岡県新型コロナウイルス感染症調整本部より感染症学の分野で全国的にも著名な麻生飯塚病院感染症科の的野多加志先生をお迎えして「新型コロナウイルス感染予防研修会」を院内職員対象に開催しました。残念ながら、当日の参加者は感染予防のため人数制限を行い、院内感染対策委員、医局、新型コロナ感染対応チームのみです。

研修は、まず感染症学が微生物学と疫学と臨床感染学の3つの学問体系からできているというご説明から始まりました。なかでも横断的な感染症診療のベースとなる臨床感染学は日本では学びにくく、さらに感染症の専門医が関東地域に偏在していることなどから、的野先生自身が西日本地域にこだわり今回のような事態に使命感をもってリーダーシップを発揮されていることをお話しされました。

主な研修内容としては、新型コロナウイルスとは何か、国内および福岡県内の感染状況の詳細、どのような対策が有効か、福岡県内の独自の対策を解説いただきましたが、特に病院内における「対策本部」の設置については具体的で大変参考になりました。すなわち、院内に新型コロナウイルス対策本部を設け、その下の各部門に対策責任者を位置づけること。さらに日常の診療を継続して行うためのチームとして物流や人員配置や総合支援(メンタルヘルスを含む)部門を配置する病院運営が望ましいとの指導をいただきました。

講義の締めくくりには「Take Home Message」として、以下の3点を伝えられました。①新型コロナウイルスはヒトと共存できるため感染は長く続く。②日頃からの標準予防策の徹底が重要である。③院内スタッフ・患者さんを守るために、withコロナという観点から院内体制を整備していく必要がある。

研修会では、この講義の後に、指定感染病におけるPPE(個人防護具)の着脱の指導と実際に当院の各病棟運営指導をいただきました。

的野先生から直接ご指導いただいた今回の貴重な研修を、日々の病院運営に直ちに反映してまいります。