当法人に以前勤務されていた安陪光正先生(精神科医)が、看護師はより一層自己研鑚が必要だというお考えをもとに、平成15年から始まった「生老病死」(しょうろうびょうし)勉強会。丸16年を迎え、本年5月28日には恒例の発表会を開催しました。この勉強会は、毎年、各部署より選ばれたメンバーが、毎月渡される一冊の本を読み、月に一回開かれる勉強会で意見を交わすものです。そして、一年の最後に、それぞれのメンバーが、一番印象に残った本について文章にまとめ、職員の前で発表します。毎月選ばれる本は、小説をはじめ自己啓発や哲学、経済など幅広いジャンルから選ばれ、普段は読まない内容の本が含まれるため、考え方の幅を広げるよい機会となりました。看護や医療からかけ離れた内容の本で学ぶことは、病院での仕事に直接関係ないように思うかもしれませんが、阿陪先生の教えである「無用の用」という言葉があります。これは、二千年以上も前に書かれた老子の中にある言葉で、一見、役に立たないと思われるものが、実は大きな役割を果たしているという意味です。本から学び、メンバーと意見を交わしながら自分を振り返り得たことは、自分が看護師として存在することの意味を教えられたように感じます。二千年以上も前の言葉が、現代に通用することも不思議で驚きました。

月一冊の本を読むことに苦手意識を持つメンバーもいますが、一年経った頃には毎回、参加して良かった、読書が好きになったという声が聞かれます。今回、発表を行ったメンバーも緊張していたようですが、人前で自分の考えを述べる練習として、貴重な体験をしたのではないでしょうか。いずれ、体験したことが役立つときが来るはずです。

今年度からは総務部の職員も参加することとなり、今後も泯江堂の伝統として長く続いていく勉強会だと思います。本はたくさんのことを教えてくれます。

最後に、メンバーが発表に選んだ本を紹介します。是非、読んでみてください。

●メンバーが発表に選んだ書籍

  • 齋藤孝著「小学生のための論語」
  • テレニン晃子著「ママからの伝言 ゆりちかへ」
  • 有吉佐和子著「恍惚の人」
  • ジャン ジオノ著 原みち子訳「木を植えた人」
  • 野口嘉則著「心眼力」

「生老病死」の読書発表会の様子

文責 看護部  池田 修造