6月10日、急性期統合失調症治療におけるテープ剤の役割をテーマにした講演会が製薬会社の協力のもとZoomライブ配信で行われました。前半は雁ノ巣病院医療部長の田島孝俊先生を座長に迎え、医療法人社団碧水会 長谷川病院の院長吉永陽子先生が「ロナセンテープがもたらすNew World~1年以上の使用経験を経て~」と題した講演を行い、後半はパネルディスカッションとして油山病院院長の入澤誠が座長を務め、パネリストは油山病院精神科救急病棟医師の鮫島達夫、飯塚記念病院副院長の中村一太先生、太宰府病院医療部の宇佐美貴士先生が務め、アドバイザーとして吉永陽子先生にも参加して頂きました。
抗精神病薬には飲み薬・注射剤・貼り薬(テープ剤)の3種類があります。前半の講演の中で吉永先生は、今回のテーマであるテープ剤は手術前後や消化器症状があり薬を経口摂取できない方や、注射剤にマイナスイメージのある方に適している剤形であり、医療者側と患者さん側それぞれに治療効果が得られるものであると症例を交えながら話されました。医療者側からみると、テープ剤は血中濃度が安定し24時間効果が続くことで早期に治療効果があらわれ、治療にかかる時間を短くすることに繋がり、患者さん側から見ると飲み忘れを防ぐことや注射による痛みを避けることができ、さらには家族の方に貼ってもらうことで家族にも治療に参加してもらえる家族療法の一環にもなると示されました。
後半のパネルディスカッションでは各パネリストの先生が吉永先生へテープ剤の導入方法や慢性患者さんへの効果などの質問をされ、活発な意見交換がなされた場面もありました。 今回の講演ではテープ剤の役割と可能性に至るまで幅広くお話を伺うことができ、本日学んだ内容を今後の当院でのより良い精神科医療の提供に繋げていきたいと感じました。