油山病院主催「地域医療連携の会」は、精神科病院と一般科の病院・診療所・介護事業所の医療および介護分野の連携強化を目的として2016年に発足し、毎年6月と12月の年2回実施しています。
第4回目となる今回は、社会医療法人雪の聖母会 聖マリア病院の脳卒中リハビリテーション看護認定看護師・E-HCU/SCU HCU師長であり、同時にユマニチュード・インストラクター資格をお持ちの杉本智波氏を講師としてお招きして、6月28日に開催されました。
テーマは「認知症患者の世界をのぞいてみよう~日々のなぜ?を解決するヒント~」、ケアする私たち医療・介護従事者の目線ではなく、認知症の患者さんの住んでいる世界から私たちの対応を再考してみようという問題提議でした。
講演の中では、医療・介護従事者は(認知症などの)患者さんの回復を支援する仕事をしているのにもかかわらず、時として治療のためには仕方がないという理由で抑制や強制的なケアをしているケースを実際の映像を交えながら紹介されました。そのうえで、改めて脳の前頭葉・側頭葉・後頭葉・頭頂葉の機能を説明いただき、私たちの通常の対応がどのように患者さんに受け取られるかをわかりやすいジェスチャーやロールプレイングで実証いただきました。
そして、「ユマニチュード」が知覚・感情・言語に基づいた包括的ケア技法として「快の感情」を伝える技術であること、「ケアするとは何か」「人とは何か」を常に問い続ける哲学であることを教えていただきました。
後半の質疑応答では多くの質問が寄せられましたが、杉本氏はさまざまな質問に簡潔明瞭にお応えいただき、そのつど皆様の納得を得られたように思います。
次回の会でも同氏をお呼びしたいと考えております。
なお、今回の催しでは事前のお申し込み多数でありましたが、会場である当院多目的ホールの収容人数の都合で当日は約200名限定の会となりましたことをお詫び申し上げます。